「ちょっ……、まだ援助するとは決めていないぞ」

 エルキュールが立ち上がりつつ言い返すも、ジョフロワは歩く速度を緩めない。

「可愛くないですね、叔父上。まっ、そこが可愛いんですけどね」

 彼は、振り返ることなくエルキュールを揶揄った。

「なんて甥っ子だ」

 エルキュールは、軽く足を踏み鳴らして口惜しがっている。

 ごつめの顔に出来ているえくぼが可愛らしい。

 おもわず笑ってしまった。

 それに気がついたエルキュールもまた、笑い始めた。