「ああ、そうかもな。アイ、どうやらきみは商売人にはむいていないようだ。どちらかといえば、政治家むきかもしれないな」

 エルキュールが笑い始めた。ジョフロワもつられて笑っている。

(なにがおかしいのかしら?)

 彼らの笑いの理由はわからないけれど、とりあえず笑っておいた。

「アイ、その慈善病院を見せてもらえませんか?」
「ええ。もちろんですとも、ジョフロワ」

 ジョフロワの頼みを断る理由などどこにもない。