「くそっ、このままさらってやる」

 眼前にいるジョフロワは、腰の剣を抜こうとしている。が、あたふたしすぎていてうまく抜けない。

「アイッ」
「ギャッ」

 気の毒すぎる。

 わたしの名が呼ばれたときには、ジョフロワは尻尾を踏まれた猫のような悲鳴を上げ、向こうの方にふっ飛んでいた。月光の下、彼が宙に放物線を描きながらやけにゆっくり飛んでいく。そして、木にぶつかって地に落ちた。