ジョフロワは、紳士としてわたしをエスコートしてくれようとしているのだから。

「アイ、葡萄酒はわたしが持ちますよ」

 どうしようか迷っている内に、エルキュールが申し出てくれた。しかも、言葉が終わらない内にわたしの手から葡萄酒を奪ってしまった。

「エルキュール、ありがとうございます。ジョフロワ、それでは」

 こうなったら仕方がない。仕方がない、という表現はちょっと違うわね。

 とにかく、決断したら即行動。

 ジョフロワの左腕に自分の右腕を絡めると、歩き始めた。

 これが、ジョフロワとわたしの出会いである。