「やはり、黙っていられません。アイ様。閣下は、動くこともままならない状態のはずなのです。そんな状態の中、『ラングラン侯爵領に出没しているアムラン王国の諜報員があなたに接触をしている』と、侯爵家の執事と管理人から、ある日連絡があったのです」

 ピエールは、フェリクスに怒鳴られてもそれを無視して言い始めた。

「こちらでも、すぐにその件について調べました。すると、そこにいる諜報員だけではなく……」

 パトリスは、馬上でエルキュールを指さした。