フェリクスは、馬上ただ静かにこちらを見ている。

 翡翠色の瞳は、まっすぐこちらに向いている。揺らぐこともさえぎられることもなく。月光の下、それがはっきり見えるのが不思議である。

 フェリクスは、この場面でもわたしに関心がないのかしら。

『きみが彼といっしょに行きたければいけばいい』
『きみの好きなようにしろ』
『きみには興味がない。だから、知ったことではない』

 そんなふうに考えているのかしら。