「そのレディをどうするつもりかな? さんざんおれの命を狙い、脅かすだけでなく、そのレディの癒しや加護の力まで欲しているということか?」

 フェリクスは、馬上で豪快に笑った。

 月光の中、その笑声はわたしの耳にはすごく凶悪な感じにきこえた。

(というか、ジョフロワが王子殿下ってどういうこと?)

 混乱がいっきに押し寄せてきた。