月光のみの薄暗い中、馬車の窓外に木々が流れていく。

「信じられん。これでもう、仕事が出来なくなったぞ」

 エルキュールは、ずっと同じことを言っている。

「すまない。いてもたってもいられなかったんだ」

 そして、ジョフロワもまた同じことを言っている。