「フェリクスのことよ」

 彼女は、わたしを見おろしながら言った。

 その圧をひしひしと感じつつ、フェリクスのことなのは当然よねと思った。

「彼のことで、あなたに話しがあるの」

 彼女は、勝ち誇ったように続ける。

 彼女とわたしは、容姿は正反対。おそらくは、性格も真逆のはず。

 名前はたしか……。

 そうだわ。アンヌ・リヴィエール。フェリクスがそう叫んでいたわね。