「残念ながら、それは昔の話です。わたし自身は、それほどの力はありません。援助していただいて、こういうことでお返しが出来ればとわたしも切に願うのですが、わたしには荷が重すぎます。というよりか、ぜったいにムリです。申し訳ありません」

 ジョフロワに、それからエルキュールに、頭を下げた。

 自分でもわからない。どうして断わるのか。

 いまのジョフロワの説明なら筋が通る。フェリクスが執務室でわたしに指摘したことは、すべてクリア出来ているといっていい。

 大手を振って行ける。それこそ、フェリクスにジョフロワの言ったことを叩きつけて、堂々と行ける。

 しかし、なにかがひっかかった。

 そのひっかかりが、わたしにアムラン王国行きを渋らせている。