フェリクスにジョフロワといっしょだったところを見られて以降、落ち着かない日々をすごしている。

 フェリクスは、あいかわらず朝一番に剣の稽古をして朝食をすませ、それから領地内をまわっている。

 わたしはわたしで、朝食をすませてから慈善病院に行ったり、領地内をまわったり援助者や援助者になりそうな人たちと会ったりしている。

 フェリクスに直接尋ねることが出来ないでいる。

 その勇気がない。たとえ勇気があったとしても、その機会はなかなか巡ってこない。

 わざわざその機会を作る気力は、わたしにはない。

 それでも、心のどこかで彼と話さなければならないとは思っている。