食事は別々である。彼は、パトリスとピエールと食堂で食事をしている。わたしはというと、時間がないので自室の机でサンドイッチをつまんだり、厨房にあるテーブルでロマーヌやヴェロニク、マルスランやモルガン、料理人のジョスランや雑用係のロドルフたちとお喋りをしながら食べている。

 執務室は、いまは使っていない。なぜなら、フェリクスが使っているからである。

 フェリクスとわたしは、わたしたちの人生が交わらない以前に屋敷内でさえ会えない。

 ある意味では、「これは運命なのかしら」とさえ思えてくる。

 書物に出てくるヒロインとヒーローが、たとえどれだけハードな状況であったととしても、あるいは絶対にありえない設定であったとしても、ぜったいに出会ったり結びついたりする逆のバージョンを、フェリクスとわたしは突き進んでいる。