「アイ様、熱でもあるのではないですか? 患者の病が移ったのかもしれませんよ」

 医師は、わたしの顔を穴が開くほど見つめたまま冷静に言った。

「いえ、これは違います。大丈夫です。熱はありませんので」

 両手をブンブンと音がするほど振って否定する。

 それから、自分の荷物を取りに行き、慈善病院をあとにした。

 いつもとは違い、キラキラ光る美貌の青年ジョフロワと肩を並べて歩いている。

(それにしても、身長差も含めて見た目がこれだけ違いすぎるなんて滑稽すぎるわ)

 その滑稽さに苦笑するしかない。

 彼と当たり障りのないことを話しながら、近くの食堂に行った。