そんなわたしの焦燥をよそに、フェリクスとの関係、というよりかは接点じたいがないままにときだけがすぎていく。

 いつものように、この朝も慈善病院で打ち合わせや癒しの力を使う。そのあとは、ロドルフに馬車を出してもらって遠くの町や村の様子を見に行こうかと予定を立てていた。

 予定通り朝の忙しいひとときをすごしたばかりの頃、看護師のひとりが客人が来ていると知らせてくれた。