一泊二日のハムスターリゾート旅行から帰った、翌日の朝。

俺はこの日、朝からとんでもないミスを犯した。

…と、いうのも。





「…」

目を覚まして、枕元の時計を見て、一瞬時が止まった。

寝惚け眼でぼんやりと時計を見つめ、そして我に返った。

「…やばっ!?」

恐れていたことが起きてしまった。

そう、寝坊である。

普段は目覚まし時計に頼らず、自力で起きていたものだから。

ついうっかり、目ざまし時計をセットして寝るのを忘れていた。

と言うか、昨日帰ってきて、荷物を片付けて洗濯をして。

ベッドに横になるなり、そのまま寝ちゃったんだよ。

スイートルームのふかふかベッドも良いけど、やっぱり自宅の、自分のベッドが一番快適だよなぁ…って。

そんなこと考えてたら、そのまま寝落ち。

俺はアホか。

昨日の夜、旅行の疲れで寝過ごしたら困るから、明日は目ざまし時計セットしておこうと思ってたのに。

案の定。案の定寝過ごしたぞ。

いつもは、朝にお弁当作ってるけど。

今日はとてもじゃないけど、そんな余裕はなかった。

申し訳ないが、寿々花さんには昼休み、カフェテリアを利用してもらうとして…。

つーか、寿々花さんは何やってんの?

もしかして、あの人もまだ寝てる?

飛び起きて、寿々花さんの寝室に駆け込むと。

案の定寿々花さんも、すやすやと夢の中だった。

「起きろ!寿々花さん、遅刻するぞ!」

「ん〜、むにゃむにゃ…。ハムスターが一匹、ハムスターが二匹〜…」

何の夢を見てるんだよ。

どうやら、まだ旅行気分が抜けてないようだな?

「ハムスターは良いから、起きろって!遅刻!」

俺は強引に寝袋を揺さぶって、寿々花さんを叩き起こしたのだった。