…さて、週が明けて、休日が終わって月曜日。

今日から、いよいよ授業が始まる。

俺はこの日も、朝から朝食とお弁当を作って用意していた。

すると。

「おはよー悠理君…」
 
「おはよう…の前に、着替えてこいって…」

もう何度言ったことか。

起きてきたお嬢さんは、相変わらず俺のお古ジャージ姿だった。

二階で。制服に。着替えてから降りてこいって。

何度も言ってるでしょうが。

しかしお嬢さんは、反省している様子は全くなく。

ふわぁぁ、と大あくびをしていた。

…豪快過ぎるだろ。口元を隠しなさい。

少しは恥じらいというものがないのか。このお嬢様は。

俺の前なら別に良いけど、学校でやるなよ。

「今日は早いんだな…。もしかして、早く登校しないといけないとか?」

いつもお嬢さんが起きてくる時間には、1時間近く早い。

もしかして、今朝は用事があるとか?

日直だから早めに登校しなきゃいけないとか、そういう事情?

それならそうと、昨日のうちに言ってくれたら良かったのに。

朝食の準備、まだちょっと…。

…と、思ったが。

「ふぇ?ううん。早く夢から覚めただけ」

「…あ、そう…」

どうやら、早くに目が覚めただけらしい。

なんだ。急いでる訳じゃなかったのか。

良かった。

「悠理君、私が昨日見た夢の話を聞いてくれる?」

「夢?何の夢だったんだ?」
 
と、気軽に尋ねると。

「昨日はね、男の人と男の人がルームシェアして、ベッドでラブラブしてる夢見たんだー」

特大級の爆弾が飛んできた気分。

「ぶはっ…」

思わず吹き出してしまった。

好奇心いっぱいの顔で、お前は何を言い出すんだ。

腐女子?腐女子なのか?

個人の趣味は自由だと思うけど、俺にその趣味はないから。

出来れば、俺の前では内緒にしててもらえるか。

「男の人同士なのに、すっごく仲良しなんだよ。羨ましいね」

「…何が…?」

欲求不満なのか?

「それでね、その男の人達が…」

もう良い。よく分かった。

「はいはい、分かった。分かったから。早く顔を洗って、着替えてこい」

これ以上、朝から腐った夢の話を聞きたくなかった。

ごめんな、全国の腐ったお友達。
 
でも、俺は腐ってないから。そういう話は遠慮したい。

「うん、分かったー」

お嬢さんは頷いて、顔を洗いに向かった。

やれやれ。朝から賑やかなことで。