ウツギさんの膝に頭を乗せて、横になる。あたたかくて、ウツギさんの体温を感じる。地面には柔らかな草花が敷き詰められていて、ベッドみたいな寝心地だった。

 ……それにしても、緊張する。緊張して、まったく休める気がしない。

 そんな私を見かねたのか、ウツギさんは私の髪をやさしくすくってから、頭を撫でる。まるで自分の子どもみたいに。神様であるウツギさんからすれば、13歳の人間なんて赤子と変わらなかったりするのかな。

 ふとウツギさんが小さく口ずさんだのは、聞き覚えのあるメロディだった。昔お母さんがうたってくれた、子守唄と同じだ。


「どうして、その唄……」


 思わずウツギさんを見上げたが、ウツギさんは私を見つめてやさしく微笑むだけ。

 子守唄を聴いているうちに、急激な眠気に襲われる。やがて抗えなくなっていき、あたたかな闇に引きずり込まれていくような感覚だった。


「お眠り、ヒスイ」


 ーー子守唄の後にウツギさんの声を聞いて、私の意識はそこで途切れた。