……変な沈黙。なんか気まずい。よく考えたら私、いわゆるお姫様だっこされてるし。トウマはどちらかというと小柄な方だと思うけれど、それでも私ひとりを持ち上げられるんだ。

 静かになればなるほど、なんだか照れくさくて恥ずかしくてたまらなくなる。

 何か言おう。何か言わなきゃ。考えて考えてーー大切なことに気がついた。


「あっ、あのさ! 私、紅ちゃんのこと助けに戻りたいんだけどーー」

「は? さっきの話、聞いてなかったのか?」

「だって紅ちゃん、パセリの神様に捕まっててーー出られないし泣いてたし、本当にかわいそうなんだよ! 火が大丈夫だとしても、やっぱり助けに行かないと……」

「……三回」

「へ?」


 トウマはまたまた乱暴に私を地面に転がした。けれど人間の姿だからか、今まで一番優しい降ろし方だ。


「おまえを抱えて走った回数」

「そ、それは、本当に申し訳ないし、ありがとうって思ってる……」

「……おまえは本当に、警戒心が薄いのかなんなのかわからない奴だよな。神様たちも、紅とかいう人間も、悪い奴かもしれないとは思わなかったのか?」