私の彼氏,ちょっぴりクズっぽい,です。

その日は思いもしないタイミングでやって来て。



『っ……ぇ』



その戸惑いに揺れた空気に顔をあげた俺は,絶好の光景に,驚くより先に喜んでいた。

最低だと自覚していたけど,目の前の光景に必死に頭を働かせるとーかちゃんから目が離せなかった。

とーかちゃんはきっと泣くだろうと思っていた。

俺は泣いて怒るかと,想像していた。

傷付くことは避けられないだろうって。

なのに,どちらの表情や言葉を現すこともなく。

初めて俺を,正しくは"優菜の彼氏"の俺をじっと見たりして。

気まずそうに戸惑って。

だから,決めたんだ。



『ねぇとーかちゃん。大事な親友の浮気広められたくなかったら……俺の彼女になってよ』



そのまま,その目に映る権利は貰ってしまおうと。

振り向いて欲しいと,とーかちゃんのことが,好きだって。

そう改めて,思ったんだ。