好き,響くんが……
好き。
否定したがる怖がりな理性ある心に,しつこいくらい言い聞かせた。
1度気付いたことを,無かったことになんて出来ないから。
私は,私は有馬響が,好き。
あの人を相手に,新しく……感じたこと無いほど大きな恋に,落ちた。
気付いたその時に,私の心を埋め尽くしたのは……
焦りや他の感情を上回る響くんへの恋心と,それを自覚してしまった,喜び……だけだった。
響くんが,すき。
とうとう顔まで覆ってしまった私の耳に,電子タイマーの高い音が飛び込んだ。
「お,終わった……?」
「もー。違うよ桃花,バスケは間に休憩があるの。前半が8分,休みが3分で後半が8分! 決勝だけ後半に2分追加ね」
バスケ分からないと言う割に,自信有り気などや顔を見ると。
たぶん佐久間くんに教えて貰ったんだと思う。
私はにへらっと,良く分からない表情を浮かべた。
「桃花,場所取っとくから疲れてるなら外行ってきたら?」
「うん……そーする」
今見るには,ちょっと刺激が強すぎる。
どきどきしすぎて,堪えられない。



