素人目に見ても,確かに格好いい,のに。
私はもう,何故か前みたいにそれ以上の感情を湧かすことが出来ない。
優菜みたいに,きらきらした顔で応援することが出来ない。
1歩引いた目線で,他人を見ているような。
そんな凪いだ感情を,私は持て余していた。
自然とスライドする視線。
その先にいた人物を見つめて,私はドックンと唐突に理解する。
「ぁ……う???」
まさか,と思った。
そう思うのも,仕方なかった。
響き渡るドリブルの音に,自分の気持ちを確かめる。
そんなことが確認になるわけもないのに,胸を押さえたりなんかもして。
優菜がまた,私を訝しんで,また心配した。
大丈夫,そう答える口すら乾き,頬が紅潮する。
これはたぶん,あたり,だ。



