佐久間くんに,もしくは同じクラスの優菜に。

確認したいのに。

嘘だと言ってほしい,のに。

夢だったって。

それだけは無理だと,そう出来ない約束をしっかり覚えている私は自己完結で理解してしまう。



「おはよう」



正面から笑顔で声をかけてきた存在に,私の顔は下手くそにひきつった。

いつも通り。

肩よりもある髪の毛をさらりと落として,前髪はくるりと左右に留めてあって。

ニキビ1つないおでこを,惜しみ無く出している。

その下に,変わらない笑顔。

やっぱり,気のせいでも事故でもないんだね。

あれが……優菜のいつも通り。

だから変わらない態度でいられるんだよね。

あれを見てしまっても,優菜に嫌われているとは思えないのに。

どうして……平気な顔で笑えるの?