そう,私は大の運動音痴。
ボールを地面につくことすらままならないのに,どうして手元を離れたハネを意のままになど操れよう。
懐かしい,なんて笑いながら遊び感覚で試合をする同級生を横目に,これでも頑張ってきていたのに。
優菜のフォローも空しく,さくさく大差で負け進み。
あからさまに狙われたり,つまらなそうにされたりするのが少しだけつらかったけど,それよりも。
「ごめん……1度も勝てなかった」
昼御飯を食べた後も,なお引き摺る私。
「だから良いって,もう。ほら,お陰でバスケの応援行けるよ!」
悔しさに絞り出した私に優菜は笑った。
全員参加の午前は予選,午後は決勝。
私達は,くじで決まった午後1回目の試合の審判さえこなせば,他の種目へ観戦に行っても怒られない。
寧ろどこかでぐーたら話し込むより,ずっと推奨されているのである。
バスケ。
その三文字の響きに,私はどきりとした。
響くん,見ててって言われたけど。
私もちゃんと午前中に負けてしまって,どうしよう見に行けてしまう。



