「かわいい」
と響くんは言った。
両手でまた挟まれて，親指が私の涙が伝った頬を拭う。
「そうだよ，泣くならこういう時にして。それから，とびきりかわいい煽ってるとしか思えないその泣き顔は，俺だけに見せて」
ぎゅぅっと，囲まれた。
腰からへなへなと力が抜けていく私を，響くんが支える。
「だから，可愛すぎなんだって，とーかちゃん」
目を合わせられ，私よりずっと可愛い微笑みに見つめられ。
来る，と思った。
誘われるように睫毛を下ろすと，また，キスが降ってきた。
「ねぇ，とーかちゃんの彼氏は誰？」
「佐久間くん……と……ひ，びき」
名前を並べると，ぎゅっと眉の間にシワが出来る。
だけど多分，響くんを抜いて答えることは許されていなくて。
上目に答えた私に，またとびきり柔らかいキスが落ちた。
