こんな勢い,絶対に痛いと思ったのに。
触れた唇は,信じられないくらいに柔らかい。
響くん,何に……どうして怒っているんですか?
もう,何も考えられない。
何度も,何度も。
初めてだって分かってるくせに,手加減なんてしてくれない。
下唇を食まれて,また強く押し付けられる。
いつの間にか壁側に立つのは私に変わっていて,立っているのがぎりぎりだった。
「大事なのは,とーかちゃんが嫌か,嫌じゃないか」
ーでももう今はそんなのどーでもいいよね
響くんは一呼吸また余裕を与えて,焦らすようにキスをする。
嫌か,嫌じゃないか。
それはきっと,私との約束を意識して出た言葉。
でも本当に,それだけ……?



