響くんは言った。
嘲るように,嗤うように。
誰に向けた感情なのか,またもや分からない。
私に向けたようにも,佐久間くんに向けたようにも,優菜に向けたようにも。
何故か自分に向けたようにも。
全員に向けたようにも聞こえれば,誰に向けたわけでもないようにも聞こえた。
「なっ何を……私,顔も感情もこんなんで……っ。それに佐久間くんと別れてもいなければ,ひっ響ともそんな関係じゃっ……」
「そんなの関係ないよ。とーかちゃん,キスしよ」
私の反応なんか分かってたみたいで。
でも今度は,強引。
こっちの事なんてお構い無しで,ヒドイ,のに。
かぶりつくように,響くんの顔が落ちて来る。
触れる一瞬,響くんの動きが止まって。
驚いた私が反射で目をつむる時間が与えられた。



