「私の気持ちに,背いて,裏切ったこと」
2人を好きだと言う私の気持ちを,価値のないもののように扱っていること。
今も黙ったままでいいんだって,勘違いしていること。
「気持ちだけ? キスも,もしかしたらそれ以上も。いいの?」
よくは,ない。
よくはない,けど。
「分からないから。自分がしたこともないのに,良いものなのかも分からないのに,嫌もやめても,2人の気持ちと同じ以上には思えません」
行動よりも2人の気持ちに傷ついてしまう。
それはやっぱり,どんなものなのか私が知らないから。
手を繋ぐ以上の事はなかった。
お子様な私は,まだ高校生だからと不思議にも思わなかった。
佐久間くんもそれで良いんだと思っていた。
多分,私はさっき初めて,キス……されそうになっていた,んだと思う。
と言うことは,響くんには話せない。



