響くんがくれたシュシュが,響くんによって奪われる。
シュシュを持った右手が頬に添えられて,左手が私の顔を挟んだ。
決して笑わない響くんの顔に,また私の涙腺が緩む。
「私っ……好きって,伝えたんです,佐久間くんに。そしたら,佐久間くんも,私の事が,すき……だっ,て」
どんな反応をくれるのか,ただ気になって。
伝えてしまった。
それはとても幸せな返しだったはずなのに,私には違ったみたい。
何かのきっかけになってもいいと思った。
本音で返してくれたら,それが1番いいと思った。
だけど,佐久間くんのくれた本音は。
私にとって1番残酷なものだった。
「とーかちゃんが1番,許せないことってなに?」
なん,だろう。



