私は忘れてない。
今までは気付けなかった優菜の態度を。
あの日,少なくともキスを仕掛けたのが佐久間くんの方だったことを。
そんな中,自分の誕生日に。
佐久間くんといて,楽しく過ごせるのか。
私には分からなかった。
2人で何度も通ったコンビニが顔を出す。
甦る思い出が,私に勇気をくれた。
「佐久間くん,好き。すきだよ」
はっきりと佐久間くんを見上げる。
突然の言葉に,佐久間くんは驚いた顔をした。
そりゃそうだ。
だって,私からこの言葉を使ったのは,きっと片手で数えられるくらいしかないから。
けれど,明日の誘いへの重ための返事だと受け取ったのか,佐久間くんは疑問に思わない。
それどころか嬉しそうに笑って
「俺も。桃花の事すきだよ」
そう,応えた。



