「なぁ桃花,明日も帰れる? デートしよーぜ」 私は思いもよらない誘いに,ぱっと佐久間くんを見た。 「え……っでも部活は?」 「いやいいよ。彼女の誕生日くらい,余裕で休むわ」 恥ずかしそうに首の後ろを触れながら,佐久間くんは私を横目に見る。 その肌がほんのり赤い。 早く答えなきゃなのに,私は答えに困ってしまった。 うんって,ありがとうって,それだけなのに…… 佐久間くんが変に思う前に,言わなきゃなのに。 焦りが私を支配する。