「ごめん,ちょっと遅くなっちゃった」
「いや,いいよ。……それ,さっき着けてたっけ?」
「ううん,貰い物で折角だから。今着けたの」
「優菜?」
私はつい,言葉を止める。
「ううん……優菜にも誕生日プレゼントって貰ったけど,それは別だよ」
「えっ,あ! 明日! 誕生日?!」
そう慌てた佐久間くんに,私はなぜか安心してしまった。
そっか,知らなかったんだ。
でも,覚えてたんだ。
私は私がいないところでの2人の会話を,想像したくなかったんだと気付く。
「まぁでもそれ,似合ってるよ」
心臓がきゅうと縮んで,泣きそうになった。
褒め言葉なんて,私はろくに言えたこともないのに。
佐久間くんはいつも口にしてくれる。
佐久間くんの言葉なら,嬉しいって思っちゃう。



