「照れてる」
だからそれを
「一々口に出さないでください」
また口を開くことがないように,私はもう1つ響くんの口におかずを放った。
「んま」
「ありがとう……ございます」
「え? これとーかちゃんが作ってんの?」
「ん……はい。2月に1回くらい,そう言う気分になる日があるんです」
気恥ずかしい気分になりながらも,自分もお弁当に箸をつける。
ちゃんと美味しくて,響くんにあげた後だった私は安心した。
「じゃあそんなとーかちゃんにお礼」
「えっ」
かさりと小さな紙袋から,響くんは何かを取り出す。
見ると,黒とピンクのシュシュだった。
なっなんでそんなもの,用意してるの?



