「でもあいつ返信返したのか。律儀だな」 「んなことするから余計離すもんかってなるんじゃねーの?」 どきん,とまた心臓が鳴る。 そう言う考え方も,あるのか…… 恋愛って分からない。 「えー,じゃあ理由が分かればそれでいいわけ?」 「っあるなら! それで私は……まぁ諦めてもいいかな」 響くんは全員に聞こえるよう,少しだけ声を大きくした。 「本命が,出来た」 すごい,適当な調子なのに。 たった一言だけで。 全員を黙らせてしまった。 しん,と。 感じたことのない静粛に包まれる。