「桃花,桃花って私の彼氏と仲良かったっけ? お昼突然いなくなっちゃうから,びっくりしたぁ……! ……もー,煌芽くんに言いつけちゃうよ?」



ひっくり返るような声のあと,私はうっかり聞こえただろう近くにいた響くんを見る。

響くんもまた,持っていた筆箱を落とす勢いで目を見開いて。

自分が優菜の後ろにいるからと,響くんは一切躊躇することなくお腹を抱えサイレント爆笑をした。

分かった,もういい。

響くんと私は違うんだったと,スッとその目線を外す。



「優菜,それ……どういう意味?」



躊躇いがちに溢れた言葉は,私的にはちょっと間違い。

多分響くんとの関係についての情報を補完してあげれば良かっただけなのに。

どうしてもその問いの理由が知りたくて,本音が漏れてしまった。