ズッと鼻を啜る。

二人きりになってしまったことに気付き,私は肩身を狭めた。

今日はもう帰ろう。



「ひっひびきく……ひびき」

「ん~? ?」

「も,いいです。離してください」



私が恥ずかしさに身をよじると,響くんは阻止するように力を込めた。



「なっ」



なんでっ……



「離して,より先に言うことあるんじゃないの? とーかちゃん」



むすっとした,声。



「あ」

「え? 気付いたの,とーかちゃん。ごめんね,とーかちゃんは絶対気付かないと思って……」

「……あの,勝手に約束破って……ごめんなさい。でも,あの,もう本当に」



終わったこととして,処理して欲しい。

急に小さくなった声は,罪悪感の他にどこか寂しさも含んでいて。

だってそうなったら私達はもう




「……んーー。んん~」