嘘をつくのが苦手な私は，ついこくりと唾を飲み込んだ。

少なくとも試合を見て惚れた訳じゃないけど，当たらずとも遠からずで。

代わりに，俯いたあと見上げる。



「かっこよかった，です」



見上げていられなくなって，私は声が震えるまま俯いた。

ちらりと視線だけ上げると，響くんは口を閉じていて。

反応を間違えたかと，私の唇が震える。



「あ，の……響，くん」



思いきってもう一度顔を上げると，反対に響くんが顔を逸らした。

うっかり，胸が痛む，けど。



「なんで急に，そんな素直なの……とーかちゃん。いっつもだったらそんなの，絶対言ってくれなかったくせに」



そうじゃないって，赤らむ瞳が私に伝えてくる。

仕方，無いじゃないですか。

すきだから，たまには響くんと違う形をしていても，少しの好意くらい返したいと思うんです。



「とーかちゃん，この後……時間ある？」



えっと私は驚いて，その様子を響くんは不思議がった。