「おはよう,優菜」

「あれっ,桃花,目……大丈夫?」



流石女子。

ほんの少し腫れが残っている程度の目のサイズ感に,即座に気がついてしまう。



「ネットフリーで映画見てたんだけど……すっごい泣いちゃって」

「え~そうなんだ! 私も見てみたいなー」

「今度,教えるね」



だめ,よそよそしく,なっちゃう。



「ねぇどう? 今日のアイライン上手じゃない??!」

「うん,上手。すっごく可愛い」

「えへへ~」



すっごく可愛い。

でもね,昨日の佐久間の前では……もっと可愛かったよ。

落ちてしまいそうな口角を,右手でぐいぐいとあげた。

光の減りそうな瞳も,目蓋を持ち上げぐっと堪える。

…………優菜……