婚約破棄されたので、好きにすることにした。

 カサンドラの母は強い魔力を持って生まれ、その嫁ぎ先を巡って、かなりの争奪戦が起きていたようだ。それを、支度金という名目でお金を積んで、この国の国王陛下が勝ち取った。
 だから国王も、いくら可愛い王女の希望とはいえ、マードレット公爵家に喧嘩を売るような行為は認めないだろう。
 この立場と守護魔法で、クロエもエーリヒも守られている。
 あとは、王太子とアリーシャの懐刀としての役目を果たすだけだ。

 そうして、いよいよ夜会の日。
 クロエはエーリヒの瞳の色である真っ青なブルーのドレスを着ている。
 髪飾りや装飾品は、もちろん銀色である。
 どちらも最高級のもので、クロエを美しく彩っていた。
 上品で大人っぽいデザインのドレスは、侯爵令嬢だった頃には縁のなかったものだ。
 王太子とアリーシャのあとに、エーリヒに手を取られて会場に入ることになっている。
(ああ、でもやっぱり緊張してしまう……)
 控室で待っている間、緊張から深呼吸を繰り返すクロエの手を、エーリヒはしっかりと握ってくれた。