婚約破棄されたので、好きにすることにした。

 部屋に戻ると、さっそくエーリヒは成果を報告してくれた。
「宝石はすべて換金することができた。これがクロエの分だ」
 そう言うと、布袋に入った金貨を渡してくれた。
「こんなにたくさん」
 思っていたよりも重い袋に、感嘆の声を上げる。
「クロエが持っていたのはシンプルな宝石ばかりで、あまり裏がなさそうだったからな。普通の宝石として買い取ってもらえた」
「そうなんだ。ありがとう」
 あまり派手なものを身に付けることは父が許さなかったから、装飾品も地味なものばかりだった。
 でも、今回はそれが役立ったらしい。
(これくらいあれば、冒険者としての仕事が軌道に乗るまで、何とかなりそうね)
 そのうち自分で、これ以上稼いでみせる。
 そう決意して、金貨をしまう。
「これからどうする?」
 クロエとしては、さっさと冒険者ギルドで登録をして王都を出たいところだ。
 けれどエーリヒは、その提案に難しい顔をする。
「今、王都を出るのは、少し難しいかもしれない」
 思っていたよりも警備が厳重だったと言われてしまえば、クロエも考えを変えざるを得ない。