婚約破棄されたので、好きにすることにした。

 半壊したギルドと、騎士団に連れて行かれたサーディのことも気になる。
 でもまだクロエが公爵家の養女になることも、そんなクロエとエーリヒが婚約したことも、公表されていない。
「クロエがそう言うなら、やめておくよ」
 不安を訴えると、エーリヒはすぐにそう答えてくれた。
「たしかに行くにしても、もう少し時間を置いたほうがいいかもしれない」
「うん」
 こうやってエーリヒは、クロエの不安を減らすように努力してくれている。
 だからクロエも、エーリヒが安心してくれるように、しっかりしないといけない。
(きっと大丈夫。父や元婚約者に会っても、平然としていられる)
 それは前世の記憶が蘇ったからというよりは、エーリヒと一緒に過ごしてきた日々のお陰だ。
 地味だと蔑まれていたクロエを、綺麗だと。
 あんな男には勿体ないとまで、言ってくれたのだ。
 その言葉を思い出せば、たとえ移民だと蔑まれても、まっすぐに前を向けるだろう。

 それからは、貴族として生きるためと、魔法を学ぶための勉強に明け暮れた。