婚約破棄されたので、好きにすることにした。

 彼女の申し出を受けると答えたとき、そのことについても相談してみた。
 だがアリーシャは、無効にされてしまう可能性があるから、きちんと貴族になってから結婚した方がいいと忠告してくれた。
 移民と貴族の庶子の結婚など、貴族にとってはそんなものだろう。
 アリーシャはこんな国を変えたいと言っていたし、クロエもそう思っている。
(忙しくなりそうね)
 クロエは、これから暮らすことになる部屋を見渡しながら、そんなことを考えた。
 貴族令嬢として生きるのなら、学ばなくてはならないことはたくさんある。
 幸いなことに、クロエはもともと侯爵令嬢だったので、マナーやダンスなどに関しては、予備知識がある状態だ。
 それを、少しずつ覚えていったことにすればいい。
 真剣に取り組まなくてはならないのは、魔法の勉強だろう。
 そんなことを考えていると、さっそくアリーシャが部屋を訪ねてきた。
「ごめんなさい。時間が掛かってしまうから、まずドレスの採寸をしないと」
「あ、はい」
 貴族令嬢になるからには、ドレスで過ごさなくてはならない。