婚約破棄されたので、好きにすることにした。

 クロエは王女と同じ魔女だが、まだ制御できない力だ。どちらが強いかもわからない。
 だからその魔法を教えてもらえることができれば、確実に王女からエーリヒを守れるだろう。
 アリーシャが求めているのは、クロエが作り出す魔石と、身内に魔導師がいるという安心。
 代わりにクロエとエーリヒの身元と安全を保障し、魔女から身を守れる魔法を教えてくれるのだという。
 だがそれを受け入れた場合、クロエは移民として、貴族社会に戻ることになる。
 ひとりで決められることではなかった。
 これからの、ふたりの将来にも関わることだ。
「エーリヒと会わせてください。ふたりのことだから、話し合いをしたいです」
「ええ、もちろん」
 クロエがそう言うと、アリーシャは頷いた。
 エーリヒは隣の客間にいるらしい。
「彼は、騎士たちを全員倒してでもあなたのところに帰ろうとしていたの。でも残念ながら、ここは貴族のための国。騎士を傷つけてしまったら、メルティガル侯爵にエーリヒを排除する正当な理由を与えてしまう。だから、魔法で眠らせて連れてきたの」
 しかもエーリヒは貴族が嫌いで、さらに女性も嫌っている。