婚約破棄されたので、好きにすることにした。

 エーリヒは強いが、騎士団は攻撃魔法を使った者がいるという通報を受けて、国に所属する魔導師も連れていたらしい。
 もし騎士たちや国家に所属している魔導師と戦っていたら、エーリヒでも無傷ではすまなかっただろう。
「エーリヒを助けていただいて、ありがとうございます」
 それがわかったから、クロエも素直に礼を言った。
 けれどアリーシャは以前教会で、クロエとエーリヒのことを手に入れたいと語っていた。
 助けてくれたのも、善意ではないだろう。
「お礼なんていいのよ。私も、あの人のためを思ってしたことだから」
 そんなクロエの警戒が伝わったのか、アリーシャはあっさりと手の内を明かした。
「あの人、とは……」
「この国の王太子である、ジェスタ様のためよ。彼は、私の婚約者なの」
 そして、エーリヒを利用して王女を操ろうとしている人たちは、彼女を王太女にすることを目的にしているのだと告げた。
「カサンドラ様はまだ、エーリヒを諦めていない。だから、女王になれば配偶者を自由に選べる。そんなことを囁いて、唆す者がいるのよ」
 そこにエーリヒの意志などない。