婚約破棄されたので、好きにすることにした。

 もしエーリヒに会わせてくれないようなら強行突破も考えていたが、彼女はわざわざ使用人を部屋から出して、話がしたいと言った。トリッドが残っているのは、彼も少なからずクロエたちと関わったからだろう。
 最初に謝罪したことからも、クロエを移民だと侮り、無理に言うことを聞かせようとしているわけではなさそうだ。
「わかりました」
 まず、彼女の話を聞いてみよう。
 そう思ったクロエが頷くと、アリーシャはほっとしたように表情を綻ばせる。
「ありがとう。私は、アリーシャよ」
 そう名乗り、昨日の出来事を詳しく話してくれた。
「私がギルドに向かっていたのは、あなたに面会を申し込んだことに対しての、返事を聞きたかったからよ」
 だがギルドに辿り着くと、外壁が崩れ落ち、中には複数の騎士がいた。
「揉めている様子だったから、冒険者同士が争っていて、騎士団が介入したのかと思ったのよ」
 けれど実際には、騎士たちが複数でエーリヒを取り囲み、かなり殺伐とした雰囲気だったようだ。
「あなたがどこまで知っているかわからないけれど、エーリヒはこの国の王女殿下……。魔女であるカサンドラ様のお気に入りだったわ」