(立派な馬車……。)
クロエの生家、メルティガル侯爵家のものよりも、立派な馬車だ。
さりげなく視線を巡らせてみたが、紋章はなかった。
父は騎士団長で、武官の家柄だとはいえ、メルティガル侯爵家よりも大貴族というと、エーリヒの父であるアウラー公爵家。そしてもうひとつの公爵家、マードレット公爵家くらいだ。
(……むしろ、父の命を受けているだろう騎士団が引き下がったのだから、メルティガル侯爵家よりも格上だった可能性が高い、ということね)
だが、アウラー公爵家ではないだろう。
エーリヒの話では、騎士団に入れられたあと、アウラー公爵家と連絡を取ったことはないらしい。
そして、もうひとつのマードレット公爵家には、クロエと同じ年頃の令嬢がいる。
彼女は、この国の王太子の婚約者だったはずだ。
それほど高貴な女性ならば、騎士団も従わざるを得ないだろう。
問題は、その女性がクロエとエーリヒに何をさせるつもりなのか、ということだ。
彼女の目的がわからない以上、用心したほうがいい。
無言のまま馬車は走り、やがて王城近くにある、広大な屋敷に辿り着いた。
クロエの生家、メルティガル侯爵家のものよりも、立派な馬車だ。
さりげなく視線を巡らせてみたが、紋章はなかった。
父は騎士団長で、武官の家柄だとはいえ、メルティガル侯爵家よりも大貴族というと、エーリヒの父であるアウラー公爵家。そしてもうひとつの公爵家、マードレット公爵家くらいだ。
(……むしろ、父の命を受けているだろう騎士団が引き下がったのだから、メルティガル侯爵家よりも格上だった可能性が高い、ということね)
だが、アウラー公爵家ではないだろう。
エーリヒの話では、騎士団に入れられたあと、アウラー公爵家と連絡を取ったことはないらしい。
そして、もうひとつのマードレット公爵家には、クロエと同じ年頃の令嬢がいる。
彼女は、この国の王太子の婚約者だったはずだ。
それほど高貴な女性ならば、騎士団も従わざるを得ないだろう。
問題は、その女性がクロエとエーリヒに何をさせるつもりなのか、ということだ。
彼女の目的がわからない以上、用心したほうがいい。
無言のまま馬車は走り、やがて王城近くにある、広大な屋敷に辿り着いた。


