婚約破棄されたので、好きにすることにした。

 もちろん彼のせいではないが、ギルド側がもう少し、サージェを抑えられなかったのかと思ってしまう。
(魔力持ちというのは、この国ではそれだけ貴重な存在だろうけど……)
 おそらくサージェは有罪となり、もしかしたら国籍もはく奪されるかもしれない。
 他のギルド員がそう噂をしていた。
 そうなったらもう、魔石目当ての貴族に飼い殺しされる未来しかないと。
 そう思うとさすがに少し気の毒だが、クロエの言うことをまったく聞かずに、自分の良いように利用しようとしたのは彼だ。
 クロエはひとりで家に戻り、明日のための準備を整えることにした。
 エーリヒを連れて行った貴族の女性の目的が何なのかわからないが、もしクロエやエーリヒを利用しようとしているのなら、魔女の力を使っても逃げるつもりだ。
(これからも、ずっと一緒に生きるんだから)
 今まで、色々と助けてもらった。
 エーリヒが一緒にいてくれたからこそ、こうして別人になって生きることができた。
 だから今度は、自分がエーリヒを救い出す。
 そう決意して、ひとりで夜を過ごした。
 疲れているはずなのに、まったく眠れなかった。