婚約破棄されたので、好きにすることにした。

 だがギルドに辿り着いたクロエは、目の前の光景を見て思わず立ち止まった。
「え……。何これ……」
 ギルドの建物の入り口が破壊され、壁が崩れている。
 それは、とても揉め事程度のものとは思えない。
 周囲には、遠巻きにギルドの様子を伺っている人たちの姿があった。
 これでは騎士団も介入するわけだ。
(これ、もしかして魔法攻撃?)
 崩れた建物から魔法の残滓を感じ取って、クロエは手のひらを握りしめた。
 この国で、魔法を使える者は少ない。
 ギルドに所属している冒険者には、魔石を使う魔術師もいる。けれど魔石は高価なもので、こんなことに使うとは思えない。
 そもそも、町中で攻撃魔法を使うことは禁じられているはずだ。
(サージェ。あの人がまた?)
 エーリヒを攻撃したのなら、許せない。
 クロエは遠巻きに半壊しているギルドを眺めている人たちをかき分けて、崩れている入り口からギルドに入った。
「ああ、クロエ」
 内部もひどいものだった。
 カウンターやテーブルが破損している。
 予想以上の惨事に思わず立ち止まったクロエに、後片付けをしていたギルド員のひとりが話しかけてきた。