婚約破棄されたので、好きにすることにした。

 サージェと遭遇するのが心配だったが、彼は基本的に魔法ギルドにいる。クロエがいなければ、冒険者ギルドに来ることはないらしい。
 それを聞いて、ますます嫌な気持ちになるが、あれほどきっぱりと、迷惑だと言ったのだ。もうクロエが行っても、絡んでくることはないだろう。
(もう私は、ギルドには行かないけど……)
 未だにクロエの魔石を求める依頼が殺到しているようで、エーリヒがギルドに行くと、クロエの体調はどうなのか聞かれるらしい。
 それに対してエーリヒは、もう無理はさせない、魔石を作らせるつもりはないと言ってくれているようだ。
 クロエはもう冒険者としては引退状態で、今はエーリヒの妻として、静かに暮らしている。
 この日も、エーリヒが指名依頼を受けて出かけたあと、家事をしたり、近所の主婦たちとおしゃべりをしたりして、楽しく過ごしていた。
 そろそろ夕飯の支度をしなければならないという主婦たちを見送り、自分もそろそろ夕飯の支度をしようと、キッチンに立つ。
「今日は何にしようかな?」
 アイテムボックスから適当な食材を取り出して、考え込んでいたとき。
「クロエさん、大変だよ」