すべてが上手くいかなくとも、エーリヒはふたりで、慎ましやかな生活ができると思っていた。
貴族からの申し出も、体調不良で断り、何かとクロエに絡んできたギルド員にも、きっぱりと迷惑だと告げた。
しばらくギルドに行く必要もないし、ふたりの家で魔法の本を読んだり家事をしたりしながら、エーリヒの帰りを待つ。
国籍が取得できなかったので正式に結婚はしていないけれど、もう夫婦のような生活をしている。
実際、移民同士は事実婚が多い。
夕飯の支度をしながら、クロエは思う。
愛する人と一緒に生きていけるのならば、それで充分ではないか。
むしろ今の状況は、前世の自分が何となく憧れていた、結婚生活そのものだ。
(私は今、幸せだし、近所の人たちだって、私たちのことを夫婦だと思っている。形に拘らなくてもいいのかもしれない……)
たしかにクロエには、望みをすべて叶えることができるほどの力がある。父や元婚約者も、サージェさえも簡単に排除できるだろう。
けれど力で強引に築き上げた世界では、きっとクロエはしあわせになれない。もともとの気弱なクロエはもちろん、今のクロエだって、人を傷つけるのは怖い。
貴族からの申し出も、体調不良で断り、何かとクロエに絡んできたギルド員にも、きっぱりと迷惑だと告げた。
しばらくギルドに行く必要もないし、ふたりの家で魔法の本を読んだり家事をしたりしながら、エーリヒの帰りを待つ。
国籍が取得できなかったので正式に結婚はしていないけれど、もう夫婦のような生活をしている。
実際、移民同士は事実婚が多い。
夕飯の支度をしながら、クロエは思う。
愛する人と一緒に生きていけるのならば、それで充分ではないか。
むしろ今の状況は、前世の自分が何となく憧れていた、結婚生活そのものだ。
(私は今、幸せだし、近所の人たちだって、私たちのことを夫婦だと思っている。形に拘らなくてもいいのかもしれない……)
たしかにクロエには、望みをすべて叶えることができるほどの力がある。父や元婚約者も、サージェさえも簡単に排除できるだろう。
けれど力で強引に築き上げた世界では、きっとクロエはしあわせになれない。もともとの気弱なクロエはもちろん、今のクロエだって、人を傷つけるのは怖い。


