婚約破棄されたので、好きにすることにした。

 ギルドには、たくさんの冒険者やギルド員がいて、こちらの様子を伺っている。
 だから、ここできっぱりと言わなくてはならない。
 クロエはこれが自分の意志だと示すために、エーリヒから離れ、サージェの顔を見てそう言った。
「……なっ」
 きっぱりと拒絶され、激高したのか、サージェはクロエに手を伸ばした。
 けれどエーリヒがその前に立ち、クロエを庇う。
「魔力の高さに目を付けて、クロエこそ自分にふさわしい相手だと吹聴していたようだが、クロエが選んだのは俺だ」
 背後からクロエを抱きしめ、選ばれたのは自分だと、誇らしげに言うエーリヒに、クロエもそっと身を預ける。
「私こそ、あなたが選んでくれたから、こうして生きていけるのに」
 あのときエーリヒが追ってきてくれなかったら、父によって簡単に連れ戻され、魔法が使えることも知られて、利用されるだけの人生になっていたかもしれない。
 互いに支え合い、寄り添うことができる。
 そんな理想の関係を築くことができるのは、きっと彼だけだ。